ノロウイルス、何万人に及ぶ感染の可能性−専門家が警告
胃腸炎病原ウイルスに感染するオーストラリア人が、数カ月のうちに何万人にも及ぶ可能性があることを専門家が警告している。
極めて感染性の高いノロウイルスの出現により、現在流行しているインフルエンザに続き、病欠者の数が増加する恐れがあると専門家は指摘。既に欧州で蔓延している今年の流行株は、昨年の胃腸炎病原ウイルスよりも感染力が高いという。
QLD州、SA州アデレード、NSW州では、場合によって見舞い客を受け付けないとしている病院もあり、既に流行の兆しを見せている。NSW大学のウイルス学者ピーター・ホワイト教授は「多くの地域でウイルスの発生を確認しており、今にもオーストラリア中に広まりつつある」と語った。
シドニーのプリンス・オブ・ウェールズ病院でともに調査を進めている研究者グループとホワイト教授は、同ウイルスを変異種と確認し、「2006年B型ノロウイルス株」と名付けた。
ウイルスは保育所や老人ホーム、病院といった人々が密集する環境に最もダメージを与えることが予測されるとホワイト博士は指摘する。
ウイルスに感染すると吐き気や下痢が起き、通常はそれが3日ほど続く。世界的なノロウイルスの流行は過去10年間で4回確認されており、去年に起きた流行がもっとも最近のものにあたる。
またホワイト教授は、「去年の流行は主に2006年A型と呼ばれるいくつかのウイルスから引き起こされており、2006年B型もともに存在していた。今現在2006年A型は消滅し、2006年B型が主に健康に害を与えるものとして出現したとみられている」と説明。
空気や水を媒介し、また個人的接触によって伝染するノロウイルスは、非常に感染性が高く、食物や水の中でも死なず、長期間生き抜くことができる。調査グループの1人であるプリンス・オブ・ウェールズ病院のウイルス学者ビル・ローリンソン教授は、「ウイルスに汚染された物の表面に触れたり、また食べ物や水によっても感染する。患者が嘔吐する際に空気中に吐き出されたごく微量の嘔吐物から感染することもある」と説明。さらに教授は、世界的に見ると毎年感染性胃腸炎のうち90%がノロウイルスによって引き起こされており、ここ数年で感染性胃腸炎が5倍増えた理由はそこにある、と付け加えた。
突発的な流行をもたらしてはまた突然消滅するという新しい流行株の定期的な出現に、公衆衛生に関する専門家は悩まされ続けているという状況である。(AAP)
この記事はAAP配信記事の忠実な翻訳であり、日本国内の報道と合致しない記述も含まれています。
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