SA、先住民族「盗まれた世代」に初の賠償金
「原住民保護局」に病院から連れ去られる
1957年12月25日、ブルース・トレボロウさんは生後13か月。家族はアデレード南東部のクーロングに住んでいた。トレボロウさんが腹痛を起こしたため、隣人が車で小児病院に運んだ。SA州最高裁に提出された病院の記録には、「両親なし。世話する人なし。栄養不良」とされている。2週間後、原住民保護局はトレボロウさんをある女性に預ける。その女性は後にトレボロウさんの里親になる。当局は、生みの親には一切連絡しなかった。その後トレボロウさんは10年間、自分の家族に会ったことがなかった。1998年6月、トレボロウさんは、SA州政府を相手取り、乳幼児の間に家族から引き離されたことで文化的アイデンティティ喪失、抑鬱症、アルコール中毒、良くない職歴などに苦しむ結果になったとして訴訟を起こした。裁判では、50歳のトレボロウさんが不安定な環境のため抑鬱症にかかり、10歳の時から抑鬱症治療薬やトランキライザーを服用する生活が始まったことが訴えられた。8月1日、トーマス・グレイ裁判官は、トレボロウさんに有利な判決を下し、州は偽計により幼少のトレボロウさんを監禁し、トレボロウさんが味わった痛みと苦しみについて看護を怠ったとした。また、「原告は一般的に言えば悲惨な人生を送ったと結論する。帰属意識を失い、孤独感にさいなまれ、抑鬱症がアルコール中毒につながった。中毒は問題を悪化させるだけだった」と述べ、さらに「原住民保護局はトレボロウさんと母親を互いに連絡させまいとしていた」と判断した。また、被告のSA州政府が、「原住民属保護局は州政府に所属しておらず、原告を連れ去ったのは州の責任ではない」という主張を退け、トレボロウさんに$525,000を支払うよう命令した。州マイケル・アトキンソン司法長官は、判決内容を読んでから控訴するかどうかを決めるとしている。(AAP)
この記事はAAP配信記事の忠実な翻訳であり、日本国内の報道と合致しない記述も含まれています。
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