現在の対テロ法規で十分に対応可能
コステロ財務相が語る
2003年にパキスタンで2か月間拘束された際にオーストラリア連邦警察官に事情聴取を受け、「アルカイダから資金を提供され、偽造パスポートを所持していた」という供述をもとに起訴されたジョセフ・トーマス容疑者 (33) は今年2月に有罪判決を受けていたが、ビクトリア州の控訴審が18日有罪判決を覆し、無罪を言い渡した。この判決の影響で、すでに人権や市民権を大幅に制限する内容が盛り込まれ、しかも曖昧な言葉遣いで時の権力によって恣意的に解釈できる余地を残した対テロ法規がさらに強化されるのではないか、という危惧が生まれている。市民権運動家で刑事弁護士協会会長のフィリップ・ボルトン弁護士もこの危惧を表明し、「今後、フィリップ・ラドック司法長官が法規を強化することが気がかりだ」と述べた。一方、ピーター・コステロ財務相は、メルボルンで開催された自由党会議の席で、ジョセフ・トーマスの無罪判決には直接言及せず、「現在の法規で十分対応できる。我が国では、政府は被疑者の有罪を立証し、確実に処罰に持ち込み、オーストラリア国民に危害が及ばないように努力しなければならない」と述べるにとどまり、それと同時に述べた「対テロ戦争は冷戦の50年より長引くかもしれない。国民は覚悟してこの戦いに準備しなければならない」という発言の方が政府の意図の本筋であり、将来的な対テロ法規強化の布石とも考えられる。控訴審の3人の判事は、「容疑者の自白はパキスタン官憲とオーストラリアの警察官に脅迫されて供述したものであり、証拠能力を持たない」と有罪判決無効の理由を述べた。控訴審の判決に対して政府はまだ公式な態度を表明していない。(AAP)
この記事はAAP配信記事の忠実な翻訳であり、日本国内の報道と合致しない記述も含まれています。
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