中国の経済成長でオーストラリアは不利

製造業界グループが警告
　オーストラリア産業グループ (Ai Group) は、新しい研究報告書の中で、中国の急激な経済成長は、オーストラリアの製造業にとって利益となるより、むしろ障害になっていると警告している。中国の経済成長によって、オーストラリア企業にとっては新しい市場が創出されたが、同時に大きな競争圧力の原因にもなっている。2005年度オーストラリア製造部門に対する中国経済の利益を68億ドルと算出した。しかし、中国製品との競争で国内国外の市場を大きく失っており、利益は完全に吹き飛んでしまっている。オーストラリア製造部門の2005年度における経済的な純損失は8億8,000万豪ドルにのぼると推定している。同グループのヘザー・ライダウト最高責任者は、この数字は製造業700社の調査に基づくもので、中国製品が予想外に深く国内国外の市場に進出していることを示している、と語った。グループは、中国との自由貿易協定の話し合いでは、オーストラリア国内の製造部門を保護する何らかのセーフガードを設けるように要求している。「大手製造業や外国資本の入っている企業はいくらかの経済的利益を受けるだろうが、国内の大半の製造業は中小規模であり、自由貿易協定で利益を受けることは至難と感じることだろう」と語っている。さらに、オーストラリアには中国製の偽造ブランドや海賊版製品も多く流れ込んできており、そのこともオーストラリア国内の製造業者の懸念となっている。この2年で中国製の影響を受けた企業は70%から84%に増えていると判明した。ライダウト最古責任者は、「新製品開拓能力を高め、オーストラリア製造部門で世界水準の技能を築き、中国からの競争に対応できる力を蓄えることが重要」と語っている。(AAP)